書評『明治・大正・昭和の細菌学者たち―北里柴三郎から藤野恒三郎まで』

書評『明治・大正・昭和の細菌学者たち―北里柴三郎から藤野恒三郎まで』

徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。

書名:『明治・大正・昭和の細菌学者たち―北里柴三郎から藤野恒三郎まで』
竹田美文 著
出版社: 大阪大学出版会

徳島県立脇町高校の先輩である竹田美文・国立感染症研究所・元所長が、我が国の細菌学者の業績をわかりやすく紹介している。
北里柴三郎(第1章)や野口英世(第4章)の業績は良く知られている。
志賀潔(第2章)は腸チフスのヴィダール反応を参考にして赤痢の原因菌を発見した。赤痢菌の属名Shigellaは志賀に由来し、日本人の名前がついている唯一の例だ。著者は小学2年時に赤痢で避病舎に隔離されたという。秦佐八郎(第3章)は、志賀も留学歴があるエールリッヒのもとで、最初の化学療法薬である梅毒治療薬(砒素剤606号)を開発した。
長與又郎(第5章)は、河水の氾濫する地域に流行する「つつが虫病」の病原体としてオリエンティア・ツツガムシ(現在名)を発見した。実験室感染死が10名に至ったという。稲田龍吉・井戸康(第6章)は発熱・黄疸・出血を伴う死亡率の高い風土病から新種のスピロヘータであるワイル病の病原体(野口英世が属名レプトスピラと提唱)を見出した。耳鼻咽喉科・外科を専門とする大原八郎(第7章)は妻に感染実験を行い、野兎との接触によって起こる野兎病の病原体を発見した。開業医である馬原文彦(阿南市)による日本紅斑熱の発見もコラムに記されている。著者の指導者だった藤野恒三郎(第8章)はシラス中毒事件の原因解明において腸炎ビブリオ(現在の和名)を分離したが、国際的に認知されたのは23年後だったという。
感染症の学習において、新規病原体発見の逸話を知ることにより理解が深まること間違いない。

7月10日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのMy Recommendationsコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。

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