書名:『ミチクサ先生 上・下』

徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。


 

書名:『ミチクサ先生 上・下』  
著者:伊集院 静
出版社:講談社

 

「きみの目指すところが、さしずめ、あの築山のてっぺんだとしよう。なら誰もが真っ直ぐここからてっぺんにむかって歩くはずだ。でも私は、そんな登り方はつまらないと思うんだ」と、夏目漱石は教え子である寺田寅彦に「ミチクサ」を薦めた。漱石は種々の学校の転校や英語教師、英国留学、朝日新聞入社など多くのミチクサしたのだ。

帝国大学での初期の講義は学生に不評だったが、噺家たちの口調で講義を進めたり、身近に起きたことを例え話に取り入れると、大学関係者にも評判となった。生真面目だった漱石の教師像が伺われる。

本書では、これまでとは異なる明るい漱石像が描かれているとともに、正岡子規との交流や「吾輩は猫である」、「坊っちゃん」、「草枕」、「虞美人草」、「三四郎」が書かれた際の経緯も描かれており、当時の状況が目に浮かぶようだ。

 

3月23日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのおすすめコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。

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