書評『透析を止めた日』

徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。

書名:『透析を止めた日』
著者: 堀川 惠子
出版社: 講談社

血液透析から高齢の母親をドナーとする腎移植、さらに再透析への移行の過程や、終末期での腹水や足先痛による苦しみなど過酷な闘病生活が詳細に描かれている。「透析を維持できなくなった時、どう死ねばよいのか分からなかった」とは患者の妻である著者の弁だ。
東京都・公立福生病院で起きた事件の詳細、透析を離脱した患者の死は悲惨だが「緩和ケア」は受けられないこと、3%に過ぎない腹膜透析は死亡直前まで持続できる方法だが普及しない理由など、後半部分では透析をめぐる医療システムの問題点が詳らかにされている。
「信頼できるドクターと呼べる存在には、一度も巡り会うことが叶わなかった」と記されている。反面教師として学び、自分への戒めと捉えたい。

1月24日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのMy Recommendationsコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。

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