徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。
書名:『生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム』
著者:吉森 保
出版社:講談社
オートファジーは2016年に大隅良典先生がノーベル生理学・医学賞を受賞することにより世に知られるようになった。実は大学院時代に、恩師である故市原明先生が肝細胞におけるオートファジーを話題にしていたのを記憶している。ところが、研究は長らく進展しなかった。その研究を切り開いたのが酵母を用いた大隅先生で、その結果を著者らが哺乳類に展開したことにより大きく発展した。
本書では、オートファジーの生命における重要な役割として、疾患や老化との関わりについて分かりやすく解説するとともに、細胞生物学・分子生物学を中心とした研究の経緯が描かれており理解しやすい。このうち選択的オートファジーの機構解明やブレーキ役であるルビコンの発見・機能解析には感心させられる。
「研究の良し悪しは、役に立つか立たないかでなく、ワクワクするかどうかで決まる」という。肝に銘じたい。
3月11日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのおすすめコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。