書評『東洋医学はなぜ効くのか : ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』

徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。

書名:『東洋医学はなぜ効くのか : ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』
著者: 山本 高穂、大野 智
出版社: 講談社

鍼灸や漢方薬はなぜ効くのだろうか。漢方薬については薬理学での講義歴があり、クリニックにおいても数種だが処方している。しかし、鍼灸について学んだ医療従事者は僅かだろう。私自身も抜歯時に手に鍼治療を行うと痛みが軽減されると45年前の講義で聞いた覚えしかない。
近年、鍼灸効果の作用機序の一部が西洋医学の手法で解明されている。鍼灸の刺激が神経ネットワークを通じて、ドパミンなどの神経伝達物質や自然免疫を担う免疫細胞を巻き込んで多様な作用を及ぼしている機構が明らかになり、鍼灸により慢性疼痛の治療のみならず、経皮的耳介迷走神経刺激による関節リウマチなどの自己免疫疾患を治療する試みが米国で始まっているのだ。また361種のツボのうち、足三里というツボには「足三里―迷走神経―副腎髄質」を介して抗炎症作用をもたらす特定の感覚神経が存在することがNature誌(2021)で公表された。漢方薬においては代表的な19種を取り上げ、それらの作用機序を分かりやすく示している。

7月9日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのMy Recommendationsコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。

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