徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。
書名:『モデルナ: 万年赤字企業が、世界を変えるまで』
著者:ピーター・ロフタス
出版社:草思社
高齢者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種後の有害事象(肺塞栓症、心筋炎など)の発生頻度は、モデルナ社製がファイザー社製より少ないこと、さらにモデルナ社製投与のCOVID-19罹患リスクはファイザー社製より14%低いと報告された(JAMA Network Open, August 2, 2023)。
2010年、修飾RNA (mod-RNA)に由来してModernaと名付けられた企業が、米国マサチューセッツ州ケンブリッジのケンドール・スクエア(チャールズ川を隔てた対岸に留学先のマサチューセッツ総合病院がある)で共同設立された。
モデルナ社は新型コロナワクチンを売り出した2021年から売上高で世界の製薬大手トップ20に入ることになるが、それまでの間、桁外れに必要な研究資金の調達に奔走したものの、2020年初頭までに人間への有効性を示したmRNAワクチン候補はH10N8インフルエンザワクチンのみだったのだ。
本書はモデルナ社設立までの経緯、誰も信じてくれなかった「合成mRNAを人間の体内に導入し、細胞をタンパク質製造工場に変える」という未知の技術に執着した理由、異例の速さで新型コロナワクチン開発を推進できた理由などが詳細に描かれている。
8月31日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのおすすめコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。