書評『35歳の哲学者、遺伝性がんを生きる : それでも子どもを望むということ』

書評『35歳の哲学者、遺伝性がんを生きる : それでも子どもを望むということ』

徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。

書名:『35歳の哲学者、遺伝性がんを生きる : それでも子どもを望むということ』
著者: 飯塚 理恵
出版社: 幻冬舎

不妊治療中に乳がんが見つかった32歳の哲学者が、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因遺伝子であるBRCA2の病的変異を有することが判明した。このため右側乳がんの切除時に、左側乳房も予防的切除を受けた。 将来、子どもは欲しいが、できるだけ変異を受け継がない子どもが欲しいとの思いから、受精胚における特定の遺伝子変異の有無を調べるPGT-M(着床前胚遺伝子変異検査)を望んだが、国内では学会による厳しい要件があるため、考え抜いた末、海外でPGT-A(着床前胚染色体異数性検査、国内では2025年9月に高年齢の不妊症の夫婦にも適用する方針が示された)とともに本検査を受けた。 本書では、女性のリプダクティブ・ライツに対する未成熟さ、ネガティブな評価を含む命の「選別」と不妊治療の現場で実施されている胚の「選択」の違いなどの倫理的問題を、どう考えるべきかを我々に問いかけている。 遺伝性内分泌腫瘍を研究テーマとしてきた私にとって、「遺伝とがん」の抱える問題について再考させられた書である。

10月17日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのMy Recommendationsコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。ぜひ手に取ってご覧ください。

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