徳島大学附属図書館のブログに寄稿しました。おすすめの本をご紹介します。
書名:『コード・ブレーカー 生命科学革命と人類の未来 上・下』
著者:ウォルター・アイザックソン
出版社:文藝春秋
クリスパー・キャス9システムと呼ばれるゲノム編集技術が論文化された時、研究室の抄読会において興奮して紹介したことを覚えている。それまでの方法に比べ簡便で精度高くゲノムを欠失させたり、変異を修正できるというのだ。
モヒカ博士が細菌は過去に感染したウイルスのRNAの断片を記憶していることを明らかにした後、ダウドナ博士とシャルパンティエ博士は細菌がウイルスを撃退するメカニズムを分子レベルで証明し、ノーベル化学賞を2020年に受賞した。その後、哺乳類の培養細胞においても作用することが示され、基礎研究分野では欠かせない技術の一つとなった。
一方、中国の研究者がゲノム編集技術を用いて遺伝子を改変したヒト受精卵から双子を誕生させ、世界を震撼させたのだ。そこで下巻ではヒトゲノム編集の倫理的側面を中心とし、併せて新型コロナウイルス感染症への取り組みが描かれている。
本書は、まさしく生命科学革命の流れを示すともに、本技術をどう人類に応用すべきかを考えさせる。
1月27日より、徳島大学附属図書館蔵本分館1階ホールのMy Recommendationsコーナーに展示されています(学外者も利用できます)。
ぜひ手に取ってご覧ください。